皆様の僕(しもべ)。

公共のざれごと

役所とか、役場で働く公務員という人たちとそのお仕事

さて、最初のエントリーです。

何にしようかと悩みましたが、まずはやはり、地方公務員のイメージとお仕事、ということで。

では皆さん、地方公務員、特に身近な役所や役場の職員に対して、どんなイメージをお持ちでしょうか。もし知り合いが自分のまちの役所に居る方は、例えば隣町の公務員なんかをイメージしてみてください。

どうですか…?

世に言う公務員バッシングで語られるイメージが浮かんでくる方が大半ではないでしょうか。

歯に衣着せぬ言い方をすれば、「融通が利かない」「民間じゃ通用しない」「無能」という感じ?

……自分で書いていて嫌になりますが、こういうイメージを持つ方は本当に多いのではないかなあと思います。もちろん、そうではない方もいらっしゃると思いますが(ありがとうございます)、特に、窓口なんかで何かトラブルがあった際にはこういった言葉を投げかけられる率が高いようにも感じます。つい先週も見かけましたし。

でも、普通に考えれば、役所とか役場の採用試験にだけ、無能な連中が集まって、その中からまた無能なヤツを合格させて…なんてことはあり得ないと思いますよね?

じゃあなんだ、職場環境が人間を無能にするのか!というと、無能か無能でないかは別として、実際、仕事の仕組みがそう感じさせてしまう要因の一つにはなっているのかなあと私は思っています。

役所・役場の仕事は、全ての人に対してまったくの平ら(公平)でなければなりません。その公平の前提として、「条例」とか「規則」とか「要項」とか…あ、ほら、こういう話になるとよくわからなくなりますよね。要するに、言葉で書いた「ルール」「基準」みたいなものがあるんです。

ちょっと例をあげましょう。補助金の対象者を決めるルールです。市町村が、東京に立地する会社に遠距離で通勤する方に対して補助を出す基準として見てください。

・補助対象は、隣町との境界にある○○駅から、東京方面に50km以上通勤する方が対象

つまり、まち外れの○○駅から50km以上離れた会社に通う人だけが補助金をもらえます。すると、こういう声が上がります。

「どうせなら自宅の最寄り駅から50km以上にしろ。長距離を通うんだから。」

ええ、わかります。○○駅からでは50kmに満たないのですが、最寄り駅にすれば会社まで50km以上になるから基準を変えてほしいんですよね。

でも、とある都内企業Aに勤める方が市内に数人いて、自宅の最寄り駅がB駅の人と、C駅の人がおり、その2駅が50kmを満たす、満たさないのギリギリの境界線であった場合はどうでしょう。同じ会社に勤めるのに、B駅から通う方は補助金が貰えて、C駅から通う方は補助金が貰えないのです。同じまちから同じ会社に通うのに。不公平ですよねえ。

で、不公平だ!となると、今後はC駅から通う人の中から「自宅からの距離にしろ。うちはC駅が最寄りだが、自宅から駅まで10kmも離れてるんだ!」なんて言い出す人も出てくることになるかもしれません。…やはり基準を変えるのは難しいと思います。

…そして、もうこの時点でうすうす「公務員て無能だ!融通が利かない!アホゥ!」と思われ始めているわけですよね。

まち外れの○○駅をスタートとしたのは、対象市町村民が同じスタートラインに立つ基準にするためです。あとは、お勤めの会社の立地によるものですので、それは個別的な事情で対象となるかならないかが決まります。いやいや、自宅からとか、最寄り駅からとかも同じ個別の事情じゃないか、とおっしゃるかもしれません。でもそれではスタートラインに個別事情を置き、勤め先というゴールにも個別事情をそれぞれ置く、ということになります。こうなると、また別の方が不公平感を持って、「あいつは自宅から駅までのルートで普段使わない順路で距離計算している、おかしいじゃないか」とか、いらぬ争いを生むことにつながるかもしれないんですね。譲歩すればするほど、問題は深くなってしまうんです。だからこそ、スタートラインの基準は変えられないと。

こうしたことから、「この基準なので」という説明を聞くと、「融通が利かない」→「民間じゃ通用しない」→「無能だ」という流れになってしまうのかなあ、と思っています。いや、別に民間がなんでも融通を利かせるとは私も思ってはいないんですけどね。これはいわゆる捨て台詞のようなものではないでしょうか。でも、こうした仕事の積み上げこそが、「公平公正」を謳う役所・役場というわけなのです。

ただ、どうしても職員の中には表現の仕方として、「決まりですから」の説明しかできない者もいたりと…。あ、う~ん、実はこれが公務員バッシングの本質なのかも知れないですね。この資質という部分についてはまたあらためて取り上げたいと思っています。

でも、公務員試験は民間同様に門戸を広く開けていますし、そういう意味では、資質にかかる従業員・職員の問題は、民間企業も公務員も一定数あるんじゃないかな、とも思っています。

さてさて、公務員像についてはおおかた上のようなイメージであり、なんでそんなに融通が利かないんだということには上記理由などがあるんです、という感じなのですが、実は最近、生粋の公務員という人達は少なくなりつつあります。いわゆる、中途採用職員が増えつつあるのです。転職組ですね。私の職場も、民間企業を経験後、家の跡取りとして帰ってきたり、父が生まれた場所だから、とそれまでの大企業勤めをお辞めになり、縁もゆかりもなかった方が入庁したり、お嫁に来るのを機に銀行から転職しましたとか…。

こうした民間で活躍されていた優秀な人たちが増えてくると、やはり業務に対する進め方や考え方などは、生粋の職員とくらべ、良くも悪くも「違うなあ」と感じることが多々あります。

かくいう私も実は民間経験者なので、公務員の仕事ってやりにくいナア…と思ったことが多々あります…。

が、その一方で、仕事に対するモチベーションといった部分に関しては、地元で生まれ、地元で育った生粋の職員の方が高かったり、ということも往々にしてあるんですよね。

生粋の公務員でモチベーション高い職員って、有り体に言えば泥臭くて一生懸命なんです。これも資質の問題にかかわってくるんですが。

この両者の良いとこ取りができれば、もっともっといい仕事ができるんだけどなあ、と感じます。これらをクリアするためには、職員教育とか、研修とかを丁寧にやっていくのが近道なのですが、人口数千~数万程度のまちだと職員数も少なく、職場が歯抜けになってしまって、非常にそれも難しいわけです。でもそれではイカンと、最近では、若手職員が自主的に勉強会みたいなのを開いたりするのを見かけるようになりました。これが実を結べばいいなあ、と思っています。ガンバレ!若手職員!

と、いうわけで、以上で内情説明といいましょうか、こんな具合で、自治体って成り立ってんだよ、というお話しになります。

…なんだか乱文で大変申し訳ございませんが、なんせブログなんてはじめてなもんで…。私も今後精進していきたいと思います。

では。